顔面神経麻痺の後遺症

顔面神経麻痺は多くの方が時間とともに改善していきますが、一定の割合で「後遺症」が残るケースがあります。後遺症と聞くと不安に感じるかもしれませんが、正しい知識を持ち、早い段階で適切なケアを行うことで、発生率を大きく下げることができます。

今回は、後遺症の原因・出やすい人の特徴・早めに対策すべき理由・鍼灸で期待できることについてお伝えします。

後遺症の原因

後遺症が起こる大きな理由は、神経の回復過程で筋肉に不要な緊張や誤った動きのクセが生じてしまうことです。
特に多い後遺症としては、
・口を動かすと目が細くなる「共同運動」
・まぶたが強く閉じてしまう「過緊張」
・しびれや違和感が長く続く
などが挙げられます。

これらは、神経の再生がうまくいかない、または表情筋が固くなり過ぎてしまうことで起こります。強いマッサージや無理な表情訓練も、回復途中の筋肉に負担をかけ、後遺症の原因になるケースがあります。

後遺症が出やすい人の特徴

後遺症には「なりやすいパターン」が存在します。
・発症から治療開始まで時間が空いてしまった
・重症度が高かった(動きがほとんど出ない状態が長い)
・表情筋の硬さが強いまま回復が進んだ
・自己流リハビリで力を入れすぎた
・ストレス・睡眠不足・冷えなどで回復力が落ちていた

特に多いのが、焦って顔を大きく動かす練習をしてしまうケースです。
神経がまだつながりきっていない時期に強く動かすと、他の筋肉が代わりに動き、誤った連動が癖になりやすくなります。

早めに対策すべき理由

後遺症は“回復が始まる時期”から起きやすいため、発症後早い段階で適切なケアを行うことで大きく予防できます。
・発症〜2ヶ月:神経再生がスタートする最重要期間
・2〜6ヶ月:動きが戻りやすい時期で、同時にクセもつきやすい
・6ヶ月以降:仕上げと後遺症対策の期間

特に2〜6ヶ月は「回復も進むが、間違った動きも定着しやすい」という非常に難しい時期です。
この時期に筋緊張を取り除き、柔らかく正しく動ける土台を作っておくことが後遺症予防のカギとなります。

鍼灸で期待できること

鍼灸では、後遺症の予防・改善のために以下のアプローチが期待できます。

・神経の炎症を抑え、回復しやすい環境を整える
・表情筋の過緊張を和らげ、動きのクセをつきにくくする
・血流改善により神経再生をサポート
・硬くなった筋肉の柔軟性を回復させ、引きつりを防ぐ
・ストレスや自律神経の乱れのケア

特に「筋肉の硬さを取る」ことは、後遺症予防でも最も重要なポイントです。
神経がどれだけ回復しても、筋肉が固まったままでは正常な動きが戻りづらく、誤った連動につながりやすくなります。
鍼灸はその“硬さ”をやわらげることができるため、医療機関の治療と併用することで後遺症リスクを大きく減らすことができます。

まとめ

顔面神経麻痺の後遺症は、正しい知識と適切なケアで予防できる可能性が大きいものです。

後遺症の多くは「神経が治っていく途中のクセづき」によるもの。つまり、早めの段階で専門的なケアを行うことで、ほとんどのリスクはコントロールできます。
もし今、不安や違和感がある場合は、一人で抱え込まず、できるだけ早くご相談くださいませ。

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